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  • 第3章 - 最後の東京のコース一生忘れない!

 参加人数が1000名に増えた今回はスタートが2つに分かれることになった。私は第1スタートで、いつものように12時10分にスタートすることになった。
競技場入り口で最終コールを受け、いよいよ国立競技場の中に入っていく。ここを出て、ここに戻ってくるフルマラソンの大会は、もうこれでお終いなのかもしれない。その最後の大会を走ることができる幸せをかみしめながらスタート地点まで歩いていった。

 


 スタート前、いつものように競技役員の方が私たちをリラックスさせるように
「バスに乗らずにここに戻って来いよ〜」
「いいか、スタートで慌てるなよ。ここまできて怪我したら何にもならないからな。」
「目標タイムはサブ3だ〜」
ランナーの笑い声が響く。そんなの無理〜。
「いいんだ。これは、お約束。」

 毎年の事ながら、スタート直前までランナーの私たちが、リラックスして走れるように気遣ってくれる。

 競技場の中に持ち込んだ携帯電話にメールが到着。夫から「頑張れ」のメールだった。
 気合を込めて「頑張る!」と短く返事。

 さあ、いよいよカウントダウン開始。スタートラインに並んだ周囲のランナーから歓声が上がる。そこには、緊張した中にも晴れ舞台に立った喜びと誇りが混じった空気が流れていた。

 
今年のスターターは、第1回、第2回優勝者のジョイス・スミスさん。

 号砲がなって走り出した。

 第2スタートのランナーが競技場のフィールド内に待機していて、第1スタートの私たちに大きな声援を送ってくれている。8分後に私たちと同じコースを走る仲間たち。一緒に頑張ろう〜。ゴールを目指そう〜。

そんな気持ちを込めて声援に応え、競技場からコースに出て行った。

 どんどん下っていくコースの右側寄りを走りながら、1キロごとのラップを見て、速くなりすぎないよう注意を払いながら気持ちよく走っていった。

 トップ選手にとっても最後の東京

先頭集団ではこんな攻防もあったんだ。

 

市民の部の私たちは、沿道の両側の応援に励まされ、自然と笑顔が出てきた。

 

最後のこのコース、悔いを残さないようにしっかり走りたい。走りながらもその気持ちは忘れなかった。

 

「こうめさ〜ん」と声がかかるとうれしくなって手を上げてしまう。
子供たちが横断幕を持って応援してくれたり、プログラムで名前を探して名前を呼んでくれたり。応援は本当にありがたく、何よりのエネルギーになった。
 11キロ過ぎで、第2スタートの先頭集団に追い越された。サブ3レベルのランナーが私を抜いていった。
「もう4分の1終っちゃった」
 いつもなら残りのキロ数を長いと感じるのに、残りが少なくなるにつれ、寂しさが沸いてきた。このコースを走るのはこれが最後。しっかり前を向いて走ろう。私の脳裏にこの景色を焼き付けなくては。
 

 

 

 折り返して、第2スタートのランナーの中から知ってる顔を見つけては声援を送った。みんな一緒にゴールを目指そう。いつもの私のフルマラソンなら中だるみする25キロでも集中力は切れなかった。時計を見るとまだペースを維持している。
 去年、がくんと足が動かなくなった30キロを過ぎても、まだ足は動いている。ペースは少しずつ落ちているけれど、このまま頑張れと、心の中で自分に言い聞かせていた。
 今、頑張らないでいつ頑張る?

「頑張る!」

 

 東京国際女子マラソンのコースの最大の難所の前で、塩まぶしの梅干を半分かじって気合を入れた。う〜、しょっぱい。


 歩道を並走するモトチカさんから「最後だぞ〜。この景色忘れるなよ〜」と声がかかった。すぐ前を走っていたhanaさんが、「忘れない!」と叫んだ。私も続いて「絶対忘れない〜!」と叫びながら走った。きっと一緒に走っていたどのランナーも同じ気持ちだったと思う。


この坂の景色、忘れない。

 坂を上りきって、競技場までのあと少しの道のりを走るころは、時計も見ていなかった。あとは、今の力を出し切るだけ。少しでも緩めることは考えなかった。


 競技場に入ってゴール前の時計が目に入った。このまま走れば25分は切れそうだ。あと数百メートルだ。思い切り走れ〜。そう自分に言い聞かせた。本当にこれで最後なんだから。
  

ゴール前の直線は本当に嬉しかった。久しぶりに力いっぱい走ったレースだった。

 

ゴールはもちろんグリコポーズ。


 ゴールラインを超えて、後ろを振り返り、今走ってきたコースに一礼をした。
 3年間走らせてもらった感謝をこめて。そして、30年間の間私に夢を与えてくれた事に感謝して。



 真っ赤なタオルをかけてくれたのは、スタート前に私のグループのコールをしてくれた女性だった。彼女は、私の完走を心から喜んでくれ、涙まで流してくれた。 本当にうれしかった。競技場の外に出る時に、あふれてきた涙を大きなタオルで拭って私の第30回東京国際女子マラソン記念大会は終った。

  2008年 (2007年) (2006年)
5km 23:06   (22:48)    (22:21)  
10km 46:42 23:36 (45:56) (23:08)  (45:12)  (22:51)
15km 1:10:28 23:46 (1:09:52) (23:56) (1:08:25)  (23:13)
20km 1:34:23 23:55 (1:33:53) (24:01) (1:31:48)  (23:23)
中間 1:39:35   (1:39:11)   (1:36:59)  
25km 1:58:08 23:45 (1:57:49) (23:56) (1:55:43) (23:55)
30km 2:22:25 24:17 (2:22:09) (24:20) (2:20:08) (24:25)
35km 2:47:21 24:56 (2:47:33) (25:24) (2:45:42) (25:34)
40km 3:13:03 26:11 (3:15:35) (28:02) (3:12:22) (26:40)
ゴール 3:24:42 11:10 (3:28:02) (12:27) (3:23:45) (11:23)
スタート時
コンディション
曇 15.5度 晴れ 18度 雨 10度

 過去2回の大会とタイムを比較すると、中間点まではペースが遅かったけれど、後半はギリギリまで粘ったのが良く分かった。前半飛ばし型の私にとって、これはほぼ理想的な展開のレースだったように思う。最後の最後で満足いく走りが出来て、私の東京国際女子マラソン3年計画プロジェクトは、Good Jobだったと思う。

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